History

西方の大国「アードレー・ライヒ」の宮中伯、メルヒオル・E・ゲゼッツァラッセンの嫡男として生を受ける。
クルトの母は後妻の上、商家、つまりは平民の出のため金銭的には何不自由なく育つが、 貴族の子供が集まる学院や従士見習いの集まる訓練所では「混血」「雑種」とからかわれ、 そのたびに悔しい思いをする日々を過ごしていた。「バスタードのヴィルヘルム」から由来する「バズヴィル」という 渾名はこの頃に拝借している。 一方、血筋よりもその人間の気概が貴族にとって重要であるという価値観念の持ち主もいなかった訳ではなく、 そういった、当時先輩従士だったアイネッヒ、学院の同級であるイヴァンらの友人とは現在も親しい友人となっている。

しかし、従士となった頃からスラムへと出入りすることが多くなる。母や友人らに止められてもその放蕩は止まることなく、 見かねたイヴァンがスラム上がりのメイドを貸し出すことになった。その結果、そのメイドの兄貴分たるスラムの顔役と知り合い、 スラムの構造を覚え、また双剣の取り扱いについて学ぶこととなる。
16の年で騎士の叙勲を受けることが取り決められたが、叙勲式をすっぽかすスキャンダルを巻き起こす。 そのスキャンダルのため、叙勲は完全に見送られ、その後半年に渡り父の命により謹慎として家に篭ることになった。 謹慎を終えた後は宮廷に出仕するも、一年弱で遊学と称しアドロードへの旅に出ることを決意。当然父には猛反対されるが、 母、そして友人らのとりなしによって実現。たった一人、メイドのクリスタを連れてアドロードへと旅に出た。

幼い頃より学んでいたのは治世に関することであり、その中でも法学に重点が置かれている。 将来的に父の跡を継ぐことが周囲からも当然と見られているが、本人はまだそれを受け止められていない。

純血の貴族ではない裏返しからか、誇りを何よりも重視している。また<聖人の騎士たち> ――アードレー・ライヒの皇帝候補である12大公家の嫡男であり、良き友であるイヴァンと共にいることが多かったせいか、 国全体を見据える彼の影響を強く受けている。 文官である自分は「国という家を支える釘の一本である」と考えており、己個人としての生を軽んじる傾向も持つ。

Gesetzelassen

ゲゼッツァラッセン家はクルトの祖父、ディートリヒの代より宮中伯となった、いわゆる下級貴族からの成り上がりである。
現当主はメルヒオルはその地位をしっかりと足固めするべく、妹は上級貴族へと嫁に出し、自身もまた上級貴族の令嬢と婚姻する。 しかし、妻は男児を死産し、貴族の男児を死なせた罪によりメルヒオルの妹となる。

その後、彼は当時愛人であった豪商ブランケンハイムの娘リーゼロッテを正式な妻とし、財力・地位の両方を手に入れた。 ゲゼッツァラッセン家のメルヒオルは宮中伯というさほど高くない地位にあるが、強烈な上昇志向で貴族階級を駆け上る野心家として目され、 そのコンラッドは父とは正反対に、スラムをうろつく放蕩イカレ息子として名を博している。