History

生まれたのはアドロードから遠く離れた大都市、クウェードリン。 親の顔も名もその立場も知らず、本人の名もなく、スラムの娼館にて小間使いをして糊口を凌ぐ。 小間使いといってもその仕事は多岐にわたり、社会的な常識を持たないが故に躊躇せずに犯罪行為を働く子供として成長する。 一方、この頃に使い魔の名の由来となった娼婦「ツェツィーリエ」と出会い、姉のように慕い、またツェツィーリエもフェスを弟として可愛がった。 しかしツェツィーリエはある事件で悪魔に憑り殺されてしまい、以来悪魔と称されるものを極端に嫌うようになる。
間もなく娼館は潰れ、ストリートチルドレンとして路上にて寝起きし、スリや空き巣、ごみあさりや物乞いをして命を繋ぐ日々が続く。この頃にようやく己の行為が罪であると自覚し、「善良な者は死に、卑怯な者が生き延びる」という死生観を(言語化には至らないものの)持つようになる。

そんな中、祭りのためにクウェードリンを訪れた老魔術師に拾われ、弟子となる事を強要された。最初の頃こそ反発したが、間もなく「亡くした孫の代わり」であると悟り、その立場に甘んじるようになる。
老魔術師によって「フェス」と名づけられ、クウェードリンからアドロード方面へと旅をしながら、アドロード周辺の言葉、そして読み書き、魔術言語の教えを受ける日々が続く。 アドロード付近の森へと定住してからは、それまでの言語的なものから発展して魔術の基礎を叩き込まれた。老魔術師の教えに応えるべく生活のほぼ全てを魔術の修行へと注ぎ、出来損ないと罵られながらも6年後、使い魔(導き手)との契約に成功する。なお家事の全般を受け持っていたため、炊事洗濯はお手の物。
その後老魔術師の体力低下に伴い、老魔術師の古巣でもあるアドロードの猫小路へと引っ越し、相続権の関係で正式に老魔術師の息子として教区に登録される。間もなく老魔術師は他界、身辺整理も兼ねて近隣の酒場で店員として働く。またこの頃、老魔術師の知己の商人の勧めで雑貨商につく準備も始めた。

当初は雑貨商のみで生計を立てていくつもりだったが、資金的な問題で経営が厳しく、冒険者稼業に足を突っ込むことになる。それに先立ち数ヶ月ほど盗賊ギルドに所属し、昔の勘を取り戻すべく修練を積んだ。魔術師として冒険者にならなかったのは、老魔術師の他界により魔術師の道を断ったからである。それでも使い魔を解放しない未練がましさ故に、使い魔からは反抗され続けていた。

盗賊的な技術を身につけた経緯が経緯のため、どちらかといえば犯罪者的な動きや、警戒して被害を未然に防ぐ方が得意。戦闘に関しては不得手と自覚している。

as Thief

盗賊の技術を手に入れたのは、魔術師に拾われる前のこと。犯罪行為を繰り返して得た技術のため表沙汰にはしたがらず、盗賊と公言する事はない。
技術を手に入れてから冒険者稼業につくまでにブランクがあるため、技術の再習得も目的として盗賊ギルド(的なもの)に所属している。当然上納金も納めており、ギルドの意向には逆らわない。

冒険者的な盗賊として動く際は、常に警戒を怠らずにパーティへの不用意な被害を最小限に食い止める防波堤であり、同時に手がかりを探し出して鍵を開け、パーティが次のステップへと向かうための足がかりの役割を担う、と考えている。 パーティや依頼主に信用されなければ動けなくなるため、信用とその信用に答えることを何よりも重要視する。

冒険稼業以外では盗賊行為を働くことはほとんどないが、唯一の例外が(滅多にないが)相棒と共に怪盗仕事を行なう時である。 またそれ以外で盗賊ギルドに赴く際などにも、平時との(本人的)差別をつけるため、ローブを着用しない。ローブを与えた魔術の師が「盗賊の技術」を再習得、行使する事を喜ばないだろうという後ろめたさが起因しているが、たんにビラビラしていて邪魔になるから、と認識している。 そのため、普段ローブに下げている投擲用ナイフをベルトごと腕へと移し、ローブによって隠蔽されている腰裏のナイフもむき出しになるため、簡易的とはいえ武装しているのが一目瞭然となる。

as Wizard

知名度のほとんどない小さな魔術流派「フォースタス派」の弟子。フォースタス派始祖「ジョン・フォースタス」が悪魔を召喚し使役した魔術師でもあり、流派に「悪魔召喚」の技術が継承されているのは事実だが、その技術を行使するか否かで二つの流派に分かれた経緯を持つ。フェス自身は「悪魔召喚」を禁忌とする流派「カエリコラ」に属している(他に生存している術者は未確認)。
フォースタス派の魔術の特徴としては、「魂の契約」によって様々な「霊」を「召喚」し、術を行使することにある。また、魔術は「真理を悟るため」の手段に過ぎない。
もっとも基礎的、かつ重要な要素が「使い魔」であり、フォースタス派の術師は「魂の導き手」と称する。 術者が使い魔を選ぶのではなく、使い魔が術者を選んだと考えており、使い魔と共に生き、また使い魔が象徴する「意味」のごとく生きることも真理への道だと信じている。
ちなみに猫は「孤高」などを象徴し、カラスは「希望」などを象徴する。

魔術行使の形態としては、基本的に魔法陣を伴う呪文(どちらも契約を示す要素)によって、契約済みの「霊(ないしは魂)」に契約の履行を迫る。この契約は「術者の魂」と「霊(ないしは魂)」の間に取り交わされるものであり、元来魂を持たないとされるゴーレム魔法は行使できない。
魔法陣は魔力を持って描かれ、目視も可能。魔法陣を描くため、己の魔力を一点(多くは指先)へ集め紡ぐことが術者には求められる。

常に着用している綿マフラーつきの外套は、元々は「フォースタス派カエリコラ」のローブである。フォースタス派初代、ジョン・フォースタスが悪魔を召喚した際、身を守るため聖句を記し清めたローブを着用していたことにちなむ。もちろん現在では聖別などはされておらず、ただの伝統でしかない。

as Merchant

アドロードの外周部付近、猫小路の端に「フォースタス×××雑貨店」を構える。元々は師でもあるジョージ・フォースタスが薬(通常の薬品)や簡易的な魔術具を受注販売していた店舗であり、倉庫を作り変えたものである。看板にある「×」は「魔法屋」の文字を削った跡。
取り扱う商品は多岐にわたり「ある程度保存の利く消耗品」を全般的に扱う(獣油やビネガーは扱うが、牛乳などは取り扱わない)。また、革細工「リーフ」の販売も行なっている。立地条件的に不利なため、配達なども請け負う。その延長で時折配達屋的なことも行なうが、ほぼサービスのようなもの。
師であるジョージが「いわくがあるため、処分に困ったもの」を引き取り「そのいわくを踏まえて欲しがる人に売り渡す」ことをしていたのが縁で、いわくつきの故買品なども取り扱う。いわくの真偽のほどは定かではないものの、「いわく好き」の好事家にはそこそこ高額で売れるため重要な収入源となっている。

商人ギルドに所属しているが、まだまだルーキー。商人ギルドの小間使いめいた仕事も押し付けられることもあるが、海千山千の商人たちから技術を盗める、と嫌な顔ひとつせずに引き受ける。
現在はアルバイトを雇い、街中を走り回って配達や注文を受けたり、ギルドから渡された仕事をこなしたりと、忙しい日々を送る。冒険者が本業ではないのはそのため。
時折街の外まで行商に赴くこともある。

近所づきあいも重要視しており、近隣の住人の頼みごとを二つ返事で引き受けたり行事の手伝いをしたりと、忙しなく動き回っている。暇という言葉を知らず、午前0時に床に就き、午前3時には起きて動き出す。ただし昼寝はする。修行時代からの生活リズムであり、苦とも思っていない。

Weapon

古ぼけたナイフ
懐に入れたメインウェポン。幼少時より所持しており、ほぼ手足のように馴染んでいる。ある経緯で少々歯が欠けたが、手入れして今だ現役、切れ味も遜色はない。
基本的に左手に持ち、攻守共に使う。
投擲用ナイフ×8
ローブの裏に隠蔽している、投擲に特化したサブウェポン。ナイフとはいっても両刃。先端からの衝撃には強いが、横からの衝撃には弱いため、防御には牽制的にしか使えない。
両利きのため、どちらの手でも投げられるが、もともとの利き手である左手の方が精度が高い。
ナイトエッジ
ベルトの裏に鞘ごと留めた、黒曜石製のナイフ。鞘は相棒製。セッション「火の山に住まう者」にて入手。黒曜石製とはいえ切れ味は遜色ない。
防御には一切使わず、硬度の高い相手には使わないため、使用する場所を選ぶ。だが、大のお気に入りのため常に持ち歩き、結果的に料理に使われることも多い。